最近ですがテーラーラトに往年の名品のスーツ地を再入荷致しました。今回はその中から一部をご紹介させて頂きます。
画像の物は今から20~30年程前のものですが、この時代の生地の良さは
今の生地にはない風合いの良さを持っております。
まず織り機が今の物と違いこの時代までは低速織機を使っておりました、
現在は高速で織られていますが低速で織ると源毛の天然パーマの
形状を保ったまま織り上げる事が出来るので、生地にボリューム感と低速織機独特の柔らかさを与える事が出来ます。
それに対して高速織機のものは出来上がりが平面的で硬さが残る傾向にありますが、
生地表面の加工技術が今は発達しておりますので意図する風合いを生地に与える事ができます。
ただウール本来の良さを引き出している物と人口的な加工
で風合いを出している物とでは違いが出るのは着て頂くと
良くお分かり頂けるでしょう。
またヴィンテージ生地と言えば懐古趣味や売れ残った
生地とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、
ただ古いだけではなくウール本来の良さを引き出し服が出来上がった時には何とも言えない本質的な良さがヴィンテージ生地には残っているのです、そして現在は生産の効率化の為に失われた良さが見直されつつもあります。
また特にドーメルは色柄共にユニークでお洒落な服地作りを得意としておりました、例えばグレーに茶系を少し混ぜて光の当り具合によりグレーに見えたり茶系に見えたりと奥深い趣向性で着る人を楽しませてくれました。
○画像1,2枚目のスーツ地はモヘア混紡のトニックです。
ブルーのピンヘッドチェックとダークブラウンのストライプ系ですが当時は合物(3シーズン向き)として高品質な信頼性のある名品でした。
○画像3枚目のスーツ地はリブテックスと称されたチャコールグレーのヘアーラインと言われる極細のストライプが入っております。秋冬向きで腰が非常に確りしておりボリューム感のある装いになるでしょう。
○画像4枚目のスーツ地はタウンテックスと称されたチャコールグレーのヘリンボーンで極細のグリーンと茶系のストライプが交互に入っています、今にはないユニークなデザインの柄ですが
少し離れてみると無地にも見えて様々な場面にもお使い頂き易いスーツになるでしょう。
○画像5枚目のスーツ地はローヤルクラシックと称されたチャコールグレーのバーズアイの織柄になります。
今回の生地の中では最も柔らかい風合いで出来上がりは
軽い当りの上質な着心地の装いになります。
秋冬にしてはやや薄手なので3シーズン用としてもお召し頂けるでしょう、ふんわりとした風合いはウール本来の良さを最も良く実感して頂けるかもしれません。
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ボワーローバック社は英国の毛織物の中心地ハダースフィールドにて1889年から高級服地を作り続けて来ました。
近年は特殊な品質の開発や新しい設備の投資でスーパー120′Sや150′Sといった
より高品質で繊細な生地を生み出した最初のメーカーでもあります。
またスキャバルやダンヒル等のマーチャントやメーカーからの
生産委託をされるほど信頼性も高く世界中のテーラーでも愛用されてきました。
今回はテーラーラトで厳選の上入荷しましたボワーローバックを特集させて頂きます。
画像一枚目は3シーズン向きホップサック調のマットウースタイプで濃紺の奥深い陰影が特徴です、
無地ながら優美な風合も持ち合わせておりますので通常のウーステッドとは一味違った
スーツをお好みの方には特にお奨めです。
画像2枚目のスーツ地は3シーズン向き濃紺のスーパー100’sに若干カシミヤをブレンドしました、
同社の中ではスタンダードなスーツ地になります。
目付の良い綾織りでビジネスやプライベート等に幅広く
お使い頂き易いスーツ地ながらとても良い発色は
このメーカーのこだわりを感じさせます。
画像3枚目のスーツ地はダンヒルが委託生産させた物で
3シーズン向き濃紺のスーパー100’sになります。
風合いは画像2枚目のスーツ地とも似ておりますが
より着易くストレッチ性を持たせナノ加工により
冴えわたった発色が特徴です。
画像4枚目は秋冬向き濃紺ジャケット地になります。
無地ですが魚の鱗のような織柄が他には無い
特徴を持たせております。
ラムズウールにカシミヤをブレンドして上品な発色と
風合いがとても魅力的です、
控えめながら少し変化のあるジャケットをお探しの方には
お奨めの一品でございます。
これから暖かくなるにつれて上着を着る場合
生地の素材等で暑さの調整をされる方も多いと思います、
そこで今回はこのジャケットの素材について少し触れて見たい
と思います。
生地に使われるものは今も昔も天然素材が中心なのは当然な事ですが
近頃優秀なケミカル素材の配合も良く見かけられるようになりました。
風合いも天然のものに近くて発色や手触り感が良い物が
作られるようになってきたようです。
画像1枚目のジャケット地はリネン83%、化繊17%と
表示してございますが化繊の量を少なくして
リネンの涼しさを最大限に出そうという意図が考えられます。
実際に触ってみても皺にはなり難いようで優れた
化繊の開発がされてきたようです。
アンコンジャケット等にしても軽くて着易い服になるでしょう。
また従来通り天然素材のものも多く揃っております、
画像3枚目以降はそれに当たりますが素材それぞれによって
風合いの特徴が良く出ております。
またこれらも作り手の意図が伺えます、例えばウール&モヘアー
はドレッシーな風合いに仕上がりますので
ビジネスにも向いているでしょう。
近頃の素材の配合は多種多様な目まぐるしさになってきましたが
着る方の背景やお好みに合わせ易くなって選択の巾
が一段と増えたようです。