生地のこと

個性的な新入荷スーツ地

Date : 2020.02.22 permalink
IMG: 個性的な新入荷スーツ地IMG: 個性的な新入荷スーツ地IMG: 個性的な新入荷スーツ地IMG: 個性的な新入荷スーツ地

近年生地の使い分けが夏冬はハッキリしているのに対して春秋には出回っているものが少なく
お迷いになられる方も多いかと存じます。
そこで今回は先日入荷しました春頃から初夏にかけての高品質ながら個性的なスーツ地の一部をご紹介させて頂きます。
まずご紹介に当たって以下から仕入れ元の文言を引用させて頂きます。

画像1枚目:(ドーメル・トニックウール)はオリジナル(TONIK®)の風合いを残し
パタゴニアウールのみで織り上げた新トニック服地です。
アンデス山脈から拭き下ろす強い風と涼しい気候で雨が少なく湿度の低い自然環境にある南アメリカ大陸の
アルゼンチンとチリの跨るパタゴニア地域で良質なパタゴニアウールは産出されます。
パタゴニアウールはクリンプが多く強く膨らみがあり服地に仕上げると通気性、保湿性、
そして伸縮性を持ち合わせ春夏の気候に適しています。
毎年限られた量の原料の刈り上げとなり希少性の高い原料です。

画像2、3枚目:(ダグデールブラザーズ・ステラー)
1960年代の勢いのあるロンドンのテーラリングを彷彿とさせる2プライの強撚モヘア糸を使用しています。
仕立映えには申し分ないハリとコシが英国ならではの魅力が満載に詰まっています。
明るい紺色は縦糸の色を変えることで2トーンの色調ができるので深みのある仕上がりになります。

画像4枚目:(テーラー&ロッジ)
スーパー120sウールとリネンをブレンドした現代風の英国パナマスーツクオリティの生地をチョイス。
本来パナマ生地は粗く織った平織の事を指しますが
スーパー120sと普段着で着るにはちょうど良いウール50%使用していることから
リネンの荒々しさがなくエレガントな仕上がりになっています。
ウール100%のでは出せない洗練された抜け感のあるスーツスタイルにお薦めです。

テーラーラトの補足:ドーメル及びダグデールブラザーズは確りした腰のある物と同時に
ある程度の清涼性も持ち合わせておりますので特に出張等のビジネスに向いております。
またテーラー&ロッジはビジネスにはあまり向かないリネンをウールに上手くブレンドする事により
防皺性を発揮しております、端正な装いに仕上がることでしょう。
涼しげな見た目の風合いも特徴的です。





春夏新入荷生地

Date : 2020.02.06 permalink
IMG: 春夏新入荷生地IMG: 春夏新入荷生地IMG: 春夏新入荷生地

今日も寒い日でありますがテーラーラトでは春夏向きのご注文も徐々に出始めております。
この度春夏に向けてのスーツ地を新入荷致しましたのでその中から一部をご紹介させて頂きたいと思います。

画像1、2枚目は濃紺無地系のスーツ地でどちらも上品な織柄が入っております、
ウール100%の薄手の物なのでヨーロッパでは夏、日本では春から夏にかけてまたは秋にもお召し頂けるでしょう。
織元はそれぞれハリソン・エジンバラ(英)とエドウィン・ウッドハウス(英)になります。

続きまして画像3枚目は濃紺無地のスーツ地で薄手の60%キッドモヘア混紡により盛夏に向いております、
こちらは品質の良さが際立っており仕上がると上質な光沢感と合わせて端正な夏の装いなるでしょう。
織元はボーワーローバック(英)で商標名はダンヒルになります。


ジョンクーパー・ドブクロス

Date : 2019.08.15 permalink
IMG: ジョンクーパー・ドブクロスIMG: ジョンクーパー・ドブクロスIMG: ジョンクーパー・ドブクロス

ウールの持っているボリューム感と腰のあると言われる典型的な生地を今回はご紹介させて頂きます。
タイトルに出ておりますドブクロスとは30年位前まで使われていた昔の低速織機の事で
ウール本来の風合いを損なわずに織り上げる事が出来てスーツに仕上げた時も非常に風格のある仕立栄えになります。
今となってはこの低速織機は世界にも殆ど存在せず織り上げられる生地は往年の名品と言えるでしょう。
テーラーラトとしましては主に過去に生産されていた
素晴らしい生地の存在を知って頂きたいと思い掲載させて頂きました。
以下は仕入れ元による文言のご紹介になります。

 ”英国が誇る老舗ブランドのジョンクーパーが、創出するドブクロス生地。
その風合いは大変柔らかく、類まれなる気品を持ち合わせています。
(ドブクロス)とは服地を織る機械のことですが、本来は産業革命当時の英国織物産業の中心地であった村の名前です。
そのドブクロス村で発明された機械なのでDOBCROSS LOOM(ドブクロス織機)と呼ばれるようになりました。
そして、その機械で織られた生地がドブクロス生地になります。

この機械は1800年代後半~1960年辺りまで生産されてきましたが、
大戦後の技術革新により、より高速な織機に取って代わられていきました。

現在の(レピア式織機)や(エアジェット式織機)は緯糸を高速に通すのが特徴で
特にエアジェット式では一分間に600回通す事が可能になりました。
この高速で緯糸を通す作業は、織機の稼働使用そのものを変えました。
高速で織機を動かすため、特に経糸をコントロールする綜絖(そうこう)という箇所の稼働域が小さくなって行きました。
従来上下に開いていた綜絖が上にしか開かなくなったのです。
その結果緯糸のテンションが強くかかり、緯糸をはさむ経糸も上から押さえつけるようになった為、
ウールが持つ柔らかな自然な風合いが殺されていったのです。

対してドブクロス織機は従来通り木製のシャトルでたて緯糸を通し、そのスピードは一分間に約100回。
一日に約40mしか織る事が出来ません。
しかし、この熟練職人が木製シャトルを使い、ゆとりを持って丁寧に織り込んだドブクロス生地が持つ、
本来の優しい風合いは生産性のみを追及した現在の織機では到底真似る事は出来ません。
今ではハダースフィールドのDobcrossWeavingCompanyのみが14台しか残っていないドブクロス織機を使って生産されております。”

  1. LATO 店主のブログ
  2. LATOの仕事
  3. 生地のこと
  4. スーツのこと
  5. オーダーシャツのこと
  6. ネクタイ・靴・小物のこと
  7. お手入れのこと
  8. LATOからのお知らせ